10日で1200単語を暗記する思考 — 5層細分化が鍵

INTRO「英単語は接触回数を増やせ」「1日◯個、周回しろ」——よく聞くアドバイスです。

理屈としては正しい。実際、私自身もこのやり方で英単語を仕上げました。ただ、このアドバイス通りに動いてみると、ほとんどの受験生が同じ壁にぶつかります。

想像以上に覚えられない/ペースが遅くて間に合うか不安になる

これ、量の問題ではないんです。英単語の捉え方の問題です。

この記事では、私が浪人時代に英単語をどう捉えて、どう進めたかを書きます。1日500単語触れて、10日で1200単語を終わらせたペースの裏にある考え方を共有するので、いま英単語で詰まっている人に届くといいなと思います。

01「覚えた/覚えてない」の2区分で考えると詰む

英単語が覚えられないと感じる人の多くは、単語を「覚えた」「覚えてない」の2区分で見ています

問題はここです。

「覚えた」と判定するのは、瞬発的に意味が出てくるレベル。それ以外は全部「覚えてない」の判定になる。この区分でやっていると、何が起きるか。

1日100単語やっても、瞬発的に出る単語はせいぜい数個。残りは全部「覚えてない」

これでは、達成感を得るのが構造的に無理です。やってもやっても「覚えてない」の山が積み上がる。「もっといい覚え方があるはずだ」と勉強法動画を漁りに走る——典型的なパターンです。

問題はやり方ではなく、判定の解像度にあります。

02英単語は「地面の奥に力いっぱい押し込む」イメージで捉える

私の英単語の捉え方は、ちょっと変わっています。

反発が強い地面の奥に、上から力いっぱい押し込んでいくイメージ

このイメージだと、何回も押すほど奥に埋もれていって、引っ張り出さなくても自然と出てこなくなる状態に近づく。逆に、1回しか押していない単語は、地面の表面にあるだけで、すぐ風で飛ぶ。

英単語を「定着」させるとは、この地面の奥まで押し込む作業です。1回で奥まで行くものもあれば、100回押してようやく到達するものもある。これは結構ランダムなんです。

このイメージを持つと、判定の解像度が変わります。「覚えた/覚えてない」の2層ではなく、押し込まれた深さで5層に分けて見ることができるようになります。

035層モデル — 段階を分けると進歩が一目瞭然になる

私が実際に使っている5層がこれです。

定義
知らない単語 見たこともない、初めましての単語
見たことある単語 スペルは知ってるけど意味は分からない
覚えたかもしれない単語 覚えたけど、多分すぐ抜けるだろうな
覚えた単語 思い出すまでに時間がかかる単語
定着した単語 瞬発的に意味が出てきて、使えるレベル

この5層で見ると何が起きるか。

1日100個知らなかった単語に取り組んだら、終わった時点でこういう感じで分布します。

  • 60個は「覚えられない単語」
  • 30個は「覚えたかもしれない単語」
  • 5個は「覚えた単語」
  • 5個は「定着した単語」

これを見ると、確実に進歩していることが一目瞭然です。「覚えた/覚えてない」の2区分だと、この日の判定は「覚えた5個、覚えてない95個」になっていた。同じ作業なのに、見え方が180度変わります。

進歩が見えると、継続できる。継続できると、最終的に定着する単語の絶対数が増える。これがこの捉え方の最大のメリットです。

041日500単語、10日で1200単語を終わらせたペース感

私の場合、1週間ほど単語帳にべったりくっついて、1日500〜600個ぐらい単語に触れていました。その日のうちに1つでも多くの「知らない単語」を「知らない単語じゃない状態」にするマインドで継続しました。

そして、知らない単語から覚えたかもしれない単語までだけを周回することで、1周にかかる時間を短縮していきました。「覚えた」「定着した」単語に毎周触る必要はないからです。

結果、10日で1200単語を終わらせています。

ただ、これを聞いて「自分も1週間で1200やらなきゃ」と思う必要はありません。スタート地点も使える時間も人によって違うので、ペース配分は自分に合わせてください。大事なのは、

5層モデルで自分の進歩を見ながら、できるだけ早く単語の層を下に下に押し込んでいく

このイメージを持てているかどうかです。

特に最初の時期は、志望校に行きたい気持ちが強くて自分の能力以上のものを求めがちです。基準値を高く設定すると挫折します。基準値を5層に細分化することで、メンタルがかなり楽になります。

05印象を付け加える工夫 — 出展メモ・画像検索・記憶のフック

人間の脳は忘れやすくできているので、いくら反復しても抜けにくくなるだけで、抜けないわけではない。これが英単語の現実です。

そこで効くのが、印象を付け加える工夫です。

私がやっていたのは、こんなことです。

  • 問題で分からなかった単語は、単語帳に直接「出展」を書き込む(◯月の駿台模試で出てきた、など)
  • Google画像検索で単語を検索して、出てきた画像と紐付ける
  • 過去の記憶と結びつける(私自身、好きなアニメで出てきた英語は一発で覚えられた経験があります。要は、単語帳の中だけが暗記の場所じゃないということです)

これをやると、単語のメンテナンス中に必ず目に入るので、「これそういえば忘れてたわ」と強制的に印象付けられます。単純暗記より、印象付きの暗記のほうが圧倒的に抜けにくい

入り口としてLEAPや鉄壁を選ぶのもアリです。説明とセットで覚えられるので印象が強く残る。ただ、結局は回数系なので、ターゲットでもシステムでも単語力は十分上げられます。私自身はシスタン(システム英単語)を使っていました。

06定着後の話 — 復習頻度と派生語の罠

ある程度定着した単語が増えてきたら、向き合い方が変わります。

復習の頻度の理想:1日単語帳1周。覚え始めと違って、定着後の単語は瞬発的に意味が出てくるので時間がかかりません。隙間時間でも十分回せます。

そして、もう一つ大事な落とし穴があります。

演習に入って分からない単語は、大体1冊目の「派生語」であることが多い

これ、本当によく見るパターンです。見出し語は覚えているのに、派生語に抜けがある。形も意味も似ているから「いけるやろ」と思っていたら、実は見出し語を「場所で覚えていた」だけだった、というのがよくあります。

私はこれに気づいてから、見出し語のアウトプットの後に、派生語だけを別周回するようにしていました。1日2周していたのは、この派生語対策が大きいです。

07冊数は「目安」として捉えておく

最後に、冊数の話を軽く触れておきます。

最近の傾向として、特に早慶は単語のレベルが上がっていると言われていて、あくまで目安ですが、

  • マーチ志望なら単語帳2冊
  • 早慶志望なら単語帳3冊

くらいを想定してスケジュールを組むと安全です。固定のルールではないので、自分の進捗と志望校の問題傾向に合わせて柔軟に調整してください。

時間がギリギリならスパルタを3冊目に詰め込む、余裕があればピナクルや一気のEXもアリ。ただし、3冊目を組み込むためには、ここまで話した「5層モデル」「地面に押し込むイメージ」が前提です。これがないと、3冊目に到達する前に挫折します。

08まとめ — やり方では差はつかない、考え方で差がつく

最後に、この記事の核をもう一度。

  • 英単語が覚えられない原因は、「覚えた/覚えてない」の2区分で見ているから。達成感が出ない構造になっている
  • 英単語は地面の奥に押し込むイメージで捉える
  • 5層モデル(知らない/見たことある/覚えたかもしれない/覚えた/定着した)で進歩を見ると、継続が楽になる
  • 1日500単語、10日で1200単語のペースは5層モデルあって初めて成立する
  • 印象を付け加える工夫(出展メモ・画像検索・過去記憶との接続)で、抜けにくさを上げる
  • 派生語の落とし穴に注意。見出し語を場所で覚えているケースが多い
  • 冊数はあくまで目安として、マーチ志望は2冊・早慶志望は3冊くらいを想定して柔軟にスケジュールを組む

正直、やり方そのものではほとんど差はつきません。「1日◯個、◯周」というマニュアルは、みんな知っているからです。

差がつくのは、それを実行するための考え方であり、志望校の合格点を取るために逆算して軸を設定する力です。努力の方向性が定まっていれば、同じ単語帳でも引き出せる効果が劇的に変わります。

ネモナビでは、英単語の捉え方をこの5層モデルから入って、最終的に「軸と設計」の発想で勉強を組み立て直すところまで一緒にやります。単語帳が「ただ進めるもの」から「軸を更新する材料」に変わると、勉強全体の質が上がっていきます。

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